検索

Close

検索したいキーワードを入力してサイト内検索をする

パシフィックニュース

臨床導入で見えたリハビリ支援の新たな可能性

リハビリテーション

補助器具

臨床導入で見えたリハビリ支援の新たな可能性

宇治徳洲会病院 × Keeogo活用事例

宇治徳洲会病院 リハビリテーション科
理学療法士 川原 恭大

2025-08-01

はじめに

下半身に装着し、膝の動作をサポートする歩行補助機器Keeogo(キオゴー)。
今回、2024年12月よりKeeogoをサブスク導入し、現場で活用されている宇治徳洲会病院リハビリテーション科の理学療法士(PT)である川原さまにインタビューを行い、サブスク導入に至った背景や使用方法、その効果や今後の展望について伺いました。



医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院
リハビリテーション科 主任
理学療法士 川原恭大

【略歴】
2015年 福岡和白リハビリテーション学院 理学療法学科卒
2015年 宇治徳洲会病院

【医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院 ホームページ】
https://www.ujitoku.or.jp/


本日はインタビューの機会を頂戴し、ありがとうございます。まずKeeogoの第一印象について教えていただけますか?

Keeogoを商品紹介とデモンストレーション時に初めて目にした時は、結構大きい機器だなという印象が強かったですし、実際に自分で装着してみてもかなり重量感があり、患者さんが装着されるのは大変かもしれないという印象を持ちました。しかし、電源を入れていざ体を動かすとKeeogoが動きに合わせてアシストしてくれるので、最初に感じた重さは気にならなくなりました。使い始めた頃は装着する手順に迷ったり、操作が難しかったりと慣れていない部分が多く手間取ることもありましたが、困ったときはパシフィックサプライの方に訪問をお願いし、レクチャーしていただけたことで、だんだんと装着や操作に慣れて使い勝手が良くなっていきました。
 
当初はアシストを調整するためのタブレットの操作や表示の理解について、数字や設定項目が多く英語表記もあるため混乱する部分がどうしてもありましたが、要点を押さえて設定を行えばうまく調整できることもわかってきました。それでもまだ機能を使いこなせていない部分もあるので、そのあたりはまたパシフィックサプライの方に相談しながら進めていきたいと考えています。


これまでにリハビリの臨床現場でロボットを使用されたことはあるのでしょうか?

当院では、Keeogoが初めてのリハビリ臨床でのロボット活用になります。導入以前に他の機器を検討したこともありません。ですので、最初は正直に言うと不安で、どのように導入を進めたらよいか、どういった患者さんに使用していけばよいのかなどうまくイメージできませんでした。実際に患者さんに使い始めた現在も、どうしたらもっとうまく使いこなせるのかと試行錯誤しながら使っています。


当初はどのような患者さん・場面・目的でKeeogoが使えそうだと想定されていましたか?

僕が受け持つ患者さんには特に脳卒中の方が多く、軽度から中等度、重度と状態の程度は様々ですが、その中でKeeogoをリハビリに使える方がおられたらいいなと考えていました。ちょうど無償貸出が始まったタイミングで、脊髄炎で両麻痺になった患者さんをたまたま2症例担当することになったので、その患者さんたちに対してKeeogoでどのようなアシストができて効果が得られるだろうかと興味が強くわきました。


Keeogoを実際に臨床現場で使用してみての感想はどうでしたか?

比較的立位の取れる患者さんに試しましたので、装着は僕1人で行うことができました。着けた直後はやはり重たいとおっしゃいますが、動作のサポートが始まると重たさは気にならなくなるようです。重量が6.8kgありますが、動作のアシストだけでなく、Keeogoを着けること自体も筋トレの一つになるとお伝えすることで、前向きに取り組んでいただくことができました。
 
立位は取れるけれど、足の振り出しが難しくなる、すくみ足になってしまう患者さんに使用したところ、「歩きやすくなる」というご感想でした。患者さんの状態に合わせてタブレットで膝の伸展位のパラメーター設定などを調整して、歩くリハビリを1時間みっちりする、それをしっかり毎日行うことで運動学習の効果も得られたように思います。


ロボットに体を「動かされている」感覚ではなく、自分が「動かす」意識がついて運動学習が進んだのですね。

Keeogoを着けることで、患者さんご本人が「動かしにくい足を動かせている」という感覚を持てると思います。Keeogoを用いてしっかりと歩行の練習を繰り返した後に、「Keeogoを外しても、こうやってご自身で足を動かして歩けるんですよ」ということをフィードバックすると、「自分の力でできるんだ」という患者さんの自信となってリハビリを頑張るモチベーションや動作の向上につながったと感じます。

他の病院でもKeeogoを使うことで、元々もっているけれどうまく使えていなかった自身の身体能力を学習できたケースもあります。川原さまの患者さんで実際にどのような効果があったのか、事例を教えていただけますか?

僕が試した患者さんは、膝の伸展がしづらく、足を振り出したタイミングでの踵接地が難しい方でしたが、Keeogoで強くアシストされるとしっかり振り出しができて、膝も伸展でき、踵から接地し、そこからプレスイングまで持っていけるという、言うなれば「歩容の正常歩行に近い動作について、機器を使うことで運動学習ができた」のだと思います。実際にその患者さんは入院中も、退院後の外来でもKeeogoを使用してリハビリを続け、1本杖の杖歩行もできるようになり、最終的にご自宅では杖なしでも歩けるぐらいまで回復されました。僕もその患者さんに対してどういうアプローチをしようかとかなり悩んでいた時期でもあったので、とても良いタイミングでKeeogoを貸していただいたおかげで、非常に良い効果を患者さんに与えることができました。


Keeogoは起立や着座、階段の上り下りの動作もアシストできる機器ですが、歩行以外の動作にも使用されましたか?

Keeogoを使う患者さんが「歩いて家に帰る」という目標を持たれている場合は、歩行メインで使用するほうがご本人のやる気やモチベーションにつながるように思います。立ち座りはご自身で頑張ってもらえたので、今のところは歩行動作のアシストに着目してKeeogoを活用しています。臨床では歩行動作のアシストを人の手で介助するのは難しく、口頭の説明や筋トレを行ってから歩行訓練を始めても、患者さんが疲れてきたりするとどうしても歩容の崩れが生じてしまいます。それがKeeogoだとしっかりと支えて力強くアシストをしてもらえるので、頼りになりますね。


無償貸出を経て有償のサブスクでKeeogoを導入することにした決め手は何でしょうか?

Keeogoの無償貸出期間中に2名の患者さんに使用していただいて、その使用感がとても良かったんです。患者さんの歩行が良くなる効果が得られたり、モチベーションややる気につながる歩行練習ができたりと、僕らが人の手で行うアプローチとはまた違うアプローチができるのがKeeogoの非常に良い点だと感じました。程度の差こそあれ、脳卒中で運動麻痺のある患者さんはリハビリで装具を使用されることが少なくありませんが、やはり人の手によって介助する場面も多いので、治療の幅が広がるだけでなく、介助者の負担が減らせるのも良い面だと思いました。
 
慣れると着け外しやタブレットの操作方法も比較的わかりやすく、もし使用中に困ったことがあっても、パシフィックサプライの方に尋ねたらきちんと教えてサポートくださる、そのあたりのバックアップも手厚いので、安心して導入できそうだというのも大きなポイントでした。
また、回復期病院を増設するため現在建設中なのですが、そこで患者さんに対してさらに良い治療効果を高めるために使える新しい機器は何かないかとちょうど探していたタイミングでもありました。


Keeogo導入の際に苦労したことはありましたか?

実は、導入にあたって院内で反対される、理解されないといった苦労は特にありませんでした。院内で申請する前に、僕の方で宇治徳洲会病院の院長や幹部に対して、Keeogoのプレゼンを行いましたが、医療機器ではないという点も特にネックにはならず、申請は問題なくスムーズに進みました。脳外科の医師の先生方がリハビリに協力的で、かなり委ねてくださっているという環境もあり、ありがたかったですね。


Keeogoを活用したリハビリの今後の展望についてはいかがでしょうか?

急性期の場合、患者さんが入院されてから退院されるまでの間に使用するタイミングがどうしても難しかったり、外来の場合も患者さんの使用頻度が月に1回、と少なかったりとKeeogoを活用しづらい面もあります。回復期病棟がオープンしてから活用することが主になってくると想定しています。
 
Keeogoについては導入時に簡単な説明をしただけで、今は限られたスタッフしか使えません。いざ回復期病棟で広く活用していこうというときに、ロボやメカに苦手意識を持たずにしっかりと使えるように、当院のリハビリスタッフ全員に対して利用方法や効果をフィードバックするための勉強会等を開いていく予定です。どうしても難しいと思われそうなタブレットでのパラメータの調整方法についても、パシフィックサプライの方にレクチャーしていただいたり、患者さんとコミュニケーションをとって試行錯誤したりしながら、最適解を探っている段階です。
 
この4月から脳外科に配属になった医師の先生が脊椎の疾患を主に診られることもあり、脊椎の症例も今後増えていきそうなので、そのあたりの患者さんに対してもKeeogoが使用できるのではと思っています。臨床での使い方だけでなく、実際の症例も数を重ねてその効果についてスタッフの理解を深めていきたいと考えていますので、これからもサポートをよろしくお願いします。


こちらこそ、そう言っていただけて嬉しいです。今後も安心してご利用いただけるよう努めてまいります。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

さいごに

リハビリの現場で常に模索される「よりよいアプローチ」の中で、Keeogoのような新しい技術がもたらす可能性は、確実に広がりを見せています。Keeogoの導入は、従来の人の手だけでは難しかったアプローチを可能にし、患者さんの自信や回復意欲を引き出す新たな手段となり得ることを、宇治徳洲会病院のリハビリ現場が証明しています。
リハビリ現場での「もう一歩先」の支援を模索するリハビリ関係者の皆様にとって、Keeogoは大きな選択肢となるかもしれません。まずはぜひ、商品説明やデモ機貸出を通してその実力をお気軽にお試しください。

Keeogo(キオゴー)製品ページ

商品に関するご相談・お問い合わせは、お気軽にご連絡ください。

病院・高齢者施設事業支援営業課
医療・ケア施設営業係

松﨑 裕 070-1424-8165
matsusaki@p-supply.co.jp
 

関連情報