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脳卒中患者の歩行再建に対する取り組み

リハビリテーション

脳卒中患者の歩行再建に対する取り組み

脳卒中患者の歩行再建に対する取り組み

済生会 東神奈川リハビリテーション病院 リハビリテーションセラピスト部
理学療法士 中村 学

2021-08-16

当院では入院の約9割が脳卒中患者であり、必要な歩行評価機器や介入デバイスを活用しつつ歩行再建アプローチを実施している。「経験則だけに頼らない介入」は少しずつ浸透しており、その内容について紹介する。



 

1.見えない筋活動や運動を可視化する

「ほら、ここでこの筋の筋電位がみえますよね?」

多くの歩行に関するバイオメカニクスの研究論文では、歩行時の筋活動や下肢の関節モーメント、床反力などが指標として用いられている。患者ごとの歩行の問題点はこれらの側面より解釈することで、何が不足していて何をターゲットに介入するのか、より具体的となる。視診による動作観察に加えて、客観的データによる問題点の把握と治療効果の判定に用いることができれば、患者さんにも良質なフィードバックを伝えることができる。当院ではTS-MYO筋電計を用いてセラピスト教育に応用したり、3次元動作解析装置を使用して、データを可視化して介入やフィードバックに活用している。


 

2.多職種で早期の歩行再建に向けた治療用装具の検討

「この場合、足継手はこっちにして練習していきたいんですが。」


装具療法は脳卒中診療ガイドラインにおいて、早期の立位・歩行をサポートするツールとして活用が推奨されている。装具なしで一人のセラピストが患者さんのあらゆる箇所を介助しながら歩行練習をするとなると、かなりの労力と非効率さが目立ってしまう。そこで装具を活用し、リハビリテーション中の歩行練習量の増加による早期歩行再建および病棟生活の活動量向上に向けて、治療用装具の作製を進めている。週2回の装具外来にてリハビリテーション科医師と理学療法士、義肢装具士による装具検討、作製、フォローアップが実施されている。




3.歩行の効率化と難易度調整を目指した歩行支援機器によるアプローチ 

「先週に比べて体重がしっかりかけられるようになっていますよ。」



歩行再建に必要なのは、運動学習の観点からみると歩行練習量、特異的課題と並んで、課題難易度の調整が重要である。装具療法もそうだが、免荷式トレッドミルも歩行動作遂行における難易度を調整して歩行練習量増加から歩行再建に繋げるための歩行支援機器である。歩行支援機器はほかにもロボットアシストによるものもあり、いずれも人的に介助が難しい動きを介助することが最大のメリットである。当院では免荷式トレッドミルや天井走行リフトなどを用いて歩行における難易度を下げて歩行アプローチを実施している。

 

4.データの蓄積

「ここ1か月で歩く速度が改善しました。歩幅も以前より大きくなりましたね。」

介入したことに対してどのような変化があったかを数値でも伝える。主観的な内容は感想であり、専門家でなくとも伝えることはできる。介入だけでなく、経時的な評価を実施して症例のモチベーションをマネジメントすることも可能である。当院ではPTOTST各部門でデータベースを構築しており、PT部門ではFMAやTUG、FBSなどを定期評価している。この先、入院されてきた患者さんに少しでも参考となるデータが提供できるよう、介入の効果も含めて、まずはデータとして蓄積しておくことが重要である。


 

執筆者プロフィール

 



中村 学
済生会東神奈川リハビリテーション病院
 

  2008年  東京都立保健科学大学(現:東京都立大学)理学療法学科 卒業
  2016年  首都大学東京大学院(現:東京都立大学)理学療法科学域 修了
        
修士(理学療法学)
  2008年  医療法人社団 苑田会 苑田第二病院 入職
        同年 竹の塚脳神経リハビリテーション病院へ異動
  2016年  花はたリハビリテーション病院へ異動
  2019年  済生会東神奈川リハビリテーション病院 入職
  現在に至る


【取得資格】 認定理学療法士(脳卒中)

【著書】 クリニカルリーズニングで神経系の理学療法に強くなる! (2018, 羊土社)

 

 

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