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パシフィックニュース

義肢装具SIG第12回講習会に参加して

装具

リハビリテーション

義肢装具SIG第12回講習会に参加して

地域と義肢装具 ~高齢者リハを中心に~

加賀野井博美(医療法人恕泉会内田脳神経外科 リハビリテーション部・理学療法士)

2016-12-01

義肢装具SIGは、日本リハビリテーション工学協会の協力団体として、より実質的な研究活動を行っていくために2005年3月に発足しました。今回の講習会は「地域と義肢装具~高齢者リハを中心に~」をテーマに、義肢装具士、エンドユーザー、医師、PT、OT、エンジニアなど義肢装具大好き!な方々が全国から高知に集いました。今回のニュースは、講習会に参加された内田脳神経外科・加賀野井博美先生にご寄稿をいただきました。

義肢装具SIG第12回講習会

 当院の訪問リハビリテーションとデイサービスのご利用者Aさん、デイサービスのご利用者Bさんとリハビリスタッフとで義肢装具SIG第12回講習会に参加させて頂きました。
 

 Aさんは16年前に脳出血(軽度左片麻痺)、約2年半前に脳出血(右片麻痺)を発症し、右に金属支柱付きAFO(シングルクレンザック足継手)を装着し平地30m杖歩行(3動作)が可能なレベルの方で、Bさんは約2年半前に脳梗塞(左片麻痺)を発症し、左にプラスチック製AFOを装着し平地20m杖歩行(3動作)が可能なレベルの方で、お二人とも医療保険下での積極的なリハビリテーションは終了し、介護保険下でのリハビリテーションに移行されている方です。

義肢装具SIG第12回講習会-1

義肢装具SIG第12回講習会-2

歩行計測デモンストレーション

 この2人のご利用者の評価・装具トレーニングを京都大学大学院の大畑光司先生が歩行計測しながらのデモンストレーションを実施して下さいました。
 

 Aさんは、今までは何も装着していなかった左にゲイトソリューション、右には通常のAFOを装着し、装具トレーニングが行われました。左にゲイトソリューションを装着し、反復トレーニングすることによって、左への体重移動がスムーズになり右下肢の歩幅が増加し、杖歩行(2動作)が可能となり、歩行速度も大幅に改善しました。普段は「疲れた」「飽きた」と継続し、集中して取り組むことが苦手なAさんですが、「疲れませんか。大丈夫ですか?」と大畑先生の声かけにも「大丈夫。楽しい。体重の移動の感じがわかる。」と日頃はなかなか見られない笑顔をたくさん見ることができました。
 

 Bさんは、通常の装具をゲイトソリューションに変更し、装具トレーニングが行われました。麻痺側に荷重し、非麻痺側をしっかり振りだす動作の反復をすることで「今までは感じられなかったのに左(麻痺側)に体重がかかる感覚が解りだした」「歩くってこんな感じや」と、2動作の歩行、バランスのとれた歩容、歩行速度の改善に感激されていました。
 

 デモンストレーションが終わった後、「もう良くはならないと思っていたのにこんな機会があって良かった。まだまだ頑張れるね。」とお2人共が大畑先生とこういう機会をくださったパシフィックサプライの方に感謝されていました。

講義 大畑光司先生(京都大学大学院医学研究科)

歩行計測デモンストレーション

再びいきいきとくらしていける支援

医療から介護保険下でのリハビリに移行し、徐々に個別リハビリの時間が短くなり、生活リハビリとして自主トレーニングや集団体操、「できる」から「している」動作を増やすことを目的としたリハビリになっていくことで、ご利用者の意欲が無いのではなく、私達が、ご利用者が可能性を感じられない環境をつくっていたのではないかと今回の講習に参加し、強く反省させられました。
 

介護サービスに移行された時には、ケアマネージャーより情報提供を受け、回復期病院、外来リハビリ等からの経過が添付されていますが、装具をいつ作成したかは記載されていてもどういう目的でどのような効果をねらって作成されたかは記載されていないことが大半です。私達も医療のスタッフとして情報提供する側になることも多いのですがどういう効果をねらって装具作成をしたのか記載していませんでした。今後は、継続した適切な装具トレーニングができるように情報提供の仕方も受け方も変えていきます。
 

 義肢装具講習会への参加をきっかけに、ご利用者が再びいきいきとくらしていける支援をするためも、適切なアセスメントを実施し可能性への関わり方を誤ってはいけないと痛感することができました。
                                                             

   

フリーディスカッション-1

フリーディスカッション-2

第12回義肢装具SIG講習会:プログラム

2016年10月1日
会場 高知県立大学・高知工科大学 永国寺キャンパス  地域連携棟4階 多目的ホール

■プログラム 13:00~17:00
<地域義肢製作所のこだわり>
13:00~13:30 「地域における義肢装具の目的と製作を考える」
              有限会社バイタルフス高知
13:30~14:00 「海外パーツとCAD/CAM」
              株式会社かなへ義肢製作所
<脳卒中片麻痺装具の評価>
14:15~16:00 講義「脳卒中片麻痺患者の歩行における装具の役割」
          京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
          大畑光司
           ・歩行の筋電図と装具による変化
           ・歩行計測デモンストレーション
            装具ご利用者様での装具トレーニングの実際
              (2症例紹介)
<フリーディスカッション>
16:10~16:50 フリーディスカッション
             日頃考えていること悩んでいること
             何でもいいですよ
             参加しているみんなで意見交換をしましょう

【懇親会】 18:30~20:30 講習会終了後に近くの別会場で開催

【オプショナルツアー】 10月2日(日)10:00~12:00
       義足ユーザーさんと高知の街のバリア(フリー)
         &ユニバーサルデザイン探検!

※ 画像提供: 義肢装具SIG (日本リハビリテーション工学協会の協力団体)

 

 

 


 

オプショナルツアー 

義足ユーザーと高知の街のバリア(フリー)&ユニバーサルデザイン探検

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