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コミュニケーションに困難さのある子どもへのテクノロジー活用③
AAC(コミュニケーション)
コミュニケーションに困難さのある子どもへのテクノロジー活用③
連載3 障害によるコミュニケーションに困難さのある子どもたちへのテクノロジー活用 ③
2017.02.15 福島 勇(福岡市立南福岡特別支援学校 教諭)
あるカフェで携帯を使いながら手話のビデオ通話をしている人を見かけました。スマートデバイスが障害者のコミュニケーションを格段に拡げています。今回の連載③には、テクノロジー活用の『ワクワク!ドキドキ!』が凝縮されています。「黒板に書かれた文字を書き写すことができなければカメラで撮る」「話を聞いて覚えることができなければボイスレコーダーに録音する」なるほど!ナルホド!!です。
7 スマートデバイスを利用したコミュニケーションエイド

VOCAは欧米を中心に開発・販売されていましたが、我が国でもリハビリテーション工学エンジニアが開発に着手し、それを引き継ぐ形で企業による開発・販売(輸入も含めて)が進んだ結果、入手しやすくなりました。併せて、厚生労働省が障害者福祉施策の一環として、障害者・児の生活上の利便を図るために行っている【補装具費支給制度】や【日常生活用具給付等事業】という福祉用具制度の中に、重度障害者意思伝達装置、携帯型会話補助装置、情報・通信支援用具といった種目が設けられ、高額な機器でも少ない自己負担額で入手することができるようになりました。その結果、言葉をしゃべる機能に困難さのある方々へのハイテクコミュニケーション機器の普及が進みました。その効果は特別支援学校にも波及し、Able Net社のBig MackStep-by-Step Communicator、トーキングエイドなどが授業や生活場面で活用されるようになりました。

 

 その後、世界のテクノロジーは進化を遂げ、スマートフォンやタブレット型情報端末機器といったスマートデバイスという新しいテクノロジーがコミュニケーション機器として使われるようになりました。スマートデバイスは、音声通話・メッセージの送受信・カメラ機能・インターネットアクセスといった、それまで携帯電話が有していた機能に加えて、アプリと呼ばれるソフトウェアをインストールすることによって、音楽プレイヤー・電子書籍・辞書・地図・翻訳・電卓・時計・カレンダー&リマインダー・ディジタルカメラ・高機能ゲーム機・インターネットサービスの機能を有しています。ディスプレイには、人間の静電気を感知して入力する仕掛けが施されていますので触るだけで入力できますし、インターネットに接続されていれば音声で入力することも可能です。スマートデバイスが備えている機能は、言葉をしゃべることや文字を書くことに困難さのある人々のコミュニケーションを拡大したり代替したりする機器として適しており、そのためのアプリや多様な入出力装置が多数開発されています。

 

 現在、スマートデバイスのOSは、Google社のAndroid OS、Microsoft社のWindows OS、Apple社のiOSという3種類があります。なかでも、障がいのある方々の困難さを軽減するためのアプリや教育用アプリが多数存在しているApple社のiOSを搭載したiDevices(iPhone・iPad・iPad Air・iPad mini・iPad Pro・iPod touchの総称)は、アクセシビリティ(=障がいがある方でも使いやすくする工夫)に優れている点も相まって、国内外の特別支援教育や療育の現場で広く活用されるようになってきています。150万本以上あると言われているiDevices用アプリの中で、VOCAとしての機能をもった日本語に対応したアプリには、
 

①【Sounding Board】【vocaco】【ねぇ、きいて。】【Drop Talk】【Voice4U】【たっち&びーぷ】
 のように予め録音しておいた音声を出力するもの
②【トーキングエイドfor iPad】【かなトーク】【iplaywalk】【Voice Text】
 などタイピングした文章を合成音声で出力するもの、があります。

他にも【Voice Tra+】のような翻訳アプリや聴覚障がい者向けに作られた【こえとら】【しゃべって】
といったアプリがVOCAとして使える場合があります。
 

テクノロジーの進歩は日進月歩ですから、上記のアプリ以外に優れた機能をもつものが今後も登場することが予想されます。執筆時点(2017年1月下旬)では、東京都障害者IT地域支援センターがインターネット上で公開している次のアプリ一覧が参考になると思います。

iOS向けのアプリ情報 http://www.tokyo-itcenter.com/700link/sm-iphon4.html
Android向けのアプリ情報 http://www.tokyo-itcenter.com/700link/sm-and1.html 

参考までに、iDevices用VOCAアプリの【Sounding Board】と【vocaco】で音声を出力するためのコンテンツを作る方法を紹介したサイトのURLを記しておきます。

【Sounding Board】コンテンツの作り方 https://teachme.jp/contents/49496
【vocaco】コンテンツの作り方 https://teachme.jp/contents/401598
 

8 スマートデバイスで遊びながら因果関係を学ぶ

連載第1回で、コミュニケーションのメカニズムを解説しました。これまでに紹介したVOCAやiDevices向けアプリは発信手段として役に立ちますが、発信する前段階として意思や意欲というものがコミュニケーションには必要です。意思や意欲を育てるには、外界(ひと・もの・ことがら)に対して自ら能動的に関わり、その結果フィードバックされる刺激に対して、心地よさや満足感、成功感、達成感などを味わうことが大切だと言われています。しかし、重度・重複障がいのある子どもたちは、外界に働きかけることが困難です。その結果、心地よさや満足感、成功感、達成感などを味わうどころか、逆に失敗経験をくり返すことが少なくありません。失敗経験をくり返した子どもの心には「どうせデキナイ」というあきらめの気持ちが生じるようになり、外界への働きかけがますます減ってくると考えられます。したがって、「自分にもデキルぞ」という経験を積ませ、意欲を高めていくことが重要だと思います。

 

テクノロジーの進歩は、ほんのわずかな動きに反応するセンサーやスイッチを生み出しました。その結果、重度・重複障がいのある子どもたちが、自身の得意な動きで電動オモチャや家電品を作動させ、それらからフィードバックされる刺激を楽しめるようになりました。つまり、コミュニケーションの基礎となる因果関係を学ぶ方法が広がったわけです。iDevices等のスマートデバイスは、電動オモチャや家電品ではフィードバックできない映像や音声を出力することができます。ディスプレイをタップすると画像が変化し音が聞こえるといったアプリはCause and Effectアプリと呼ばれており、その中でも多くの特別支援学校で利用されているiDevices向けアプリを以下に紹介します。
 

1. 無料版→【Arpie】【タップ花火】【Fireworks! Arcade】【Doodle Sound】【みずあそび】【Doodle Rainbow】【うじゃぶー】【電車が動く!】【カラフル風船】【あそベビー】【Real Animal HD】【ボールあそび】【Ball Playing】

2. 有料版またはアプリ内課金版→【Cause and Effect Sensory Light Box】【Cause and Effect Sensory Sound Box】【Mr.Shapeのタッチカード】【Mr.Shapeのワークワーク】【Mrs.remyのタッチフード】【Sound Touch】【Fireworks!】【Busy Shapes】【Busy Shapes2】【Ball Strike】【Switch Box Invaders】
 

これらのアプリからフィードバックされる画像や音の変化といった刺激を子どもが心地良いと感じれば、再びその刺激を楽しもうとiDevicesに働きかけるようになるはずです。それこそが、因果関係の気づきであり、コミュニケーション意欲を向上させるきっかけとなるのではないでしょうか。

 

インターネットが普及してきた昨今、パソコンやスマートデバイスからWebサイトを閲覧したり電子メールを送受信したりすることが当たり前の時代になってきています。LINEやTwitterなどのSNSサービスは、インターネットを介したコミュニケーションツールとしての立場を確立していると言っても過言ではないでしょう。そのような通信技術はテレビや冷蔵庫といった家電品にも組み込まれるようになってきており、インターネットを介して家電品をはじめとしたモノを制御できるようになってきています。このような仕組みはIoT(Internet of Things)と呼ばれており、スマートデバイスのアプリを使ってライトを点けたり家電品をON/OFFしたり、といったことが可能になってきています。その仕組みを利用して、電動ジューサーでジュースを作ったり観たいDVDを再生したり、といった因果関係の理解を促す活動が考えられるかも知れません。

そのための機器やアプリを紹介したサイトのURLを記しておきますので参考にしてみてください。
http://mahoro-ba.net/e1918.html

サイトに書かれている機器の一つBelkin WeMo Switchの使い方を紹介した動画をYouTubeで公開していますので、参考になれば幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=ppHDqAcnJQs
https://www.youtube.com/watch?v=wo5aZWO6Gnk

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